公開日: 2025.05.03 / 更新日: 2025.05.04
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「努力しても報われない」韓国の若者が直面する就職のリアル

韓国の就職、想像よりずっとシビアだった
「大学を出れば就職できる」――韓国では、かつてこの考えが通用した時代もありました。 しかし今や、それは過去の話です。
2024年現在、韓国の新卒正社員就職率はわずか20%前後。日本(約98%)とは大きな差があります。 この現実は、個人の努力ではどうにもならない“構造的な詰まり”があることを示しています。
大学を出ても「就職できない」現実
韓国はOECDの中でも有数の学歴社会。大学進学率は80%以上。 にもかかわらず、卒業後の就職に直結するわけではありません。
特に財閥系(サムスン・LGなど)や公務員など“安定した職”に応募が集中し、 その倍率はときに100倍、200倍を超えることも。
- 新卒よりも経験者優遇の傾向が強く、“スペック競争”が常態化
- 資格(토익/TOPIK/ITスキルなど)とインターン歴の積み上げが求められる
- 結果として、「大学卒 → 3年間アルバイト → やっと契約社員」も珍しくない
「履歴書は20通出しても返事が来るのは2通。そのうち1通はお祈りメール」
「就職準備生」という若者たち
韓国には「취준생(就職準備生)」という言葉があります。 大学を卒業した後も、数年単位で就職活動を続ける若者のことです。
- 朝のカフェでパソコンに向かっている若者の多くが취준생
- 就職塾に月額で通い、模擬面接を繰り返す
- 就活のために整形をする、という話も現実にある
若者の有効求人倍率は0.58倍(日本は1.31倍)。 つまり「応募者が2人いるのに求人が1つしかない」状態です。
この状況で、「努力すれば報われる」と言い切るのは難しいでしょう。
若者たちの声に耳をすませると
- 「もう就活に疲れた。親に申し訳ないけど、正直限界」
- 「知り合いはみんなカナダに逃げた」
- 「バイトを続けながら正社員の求人を探す日々。未来が描けない」
一方で、こんな声もあります:
「周囲と比べるのをやめたら、自分の道が見えてきた」 「職場に期待するのをやめたら、働くことがラクになった」
現実は厳しいけれど、それでも日々を積み重ねる姿がそこにあります。
構造の問題、個人の選択
韓国の若者の就職難は、教育制度と労働市場のミスマッチ、そして経済構造の問題です。 それを個人の努力で乗り越えろと言うのは、酷な話です。
ただ一方で、韓国社会の中にも少しずつ変化は生まれています:
- スタートアップ志向や中小企業へのシフト
- 海外就職やフリーランスへの挑戦
- 「청년 일자리 지원制度(青年雇用支援制度)」など政策的後押し
まとめ:努力だけでは足りない。でも、誰もあきらめていない
- 韓国の若者は、努力しても報われにくい社会に生きている
- それでも、自分の進路を模索することをやめていない
- 私たちが「韓国で働く」「韓国に住む」ことを考えるなら、この現実を知ることから始めたい
就職はゴールではない。 でも、ゴールにもたどり着けない人が多い社会がある。 その事実と向き合うことが、最初の一歩になるはずです。