公開日: 2025.05.05 / 更新日: 2025.05.06
韓国で暮らす
【コラム】海外に住むと、世界の見え方が静かに変わる

韓国に引っ越してから、半年が経った。
最初はコンビニのレジですら緊張していたのに、
いまではワンルームの細い階段を降りて、アイスアメリカーノを買うのが日課になった。
たった半年。でも、心の中はずいぶん変わった。
「なんで韓国に来たの?」ってよく聞かれる。
正直、ちゃんとした理由なんてなかった。
日本にいるのが、なんとなくしんどかっただけ。
毎日「ちゃんとしなきゃ」「人に嫌われないように」「目立たないように」。
そうやって“いい子”やってたら、いつの間にか、自分が何好きだったかも忘れてた。
でも韓国に来て、最初に驚いたのは、みんなが自分の話をすることだった。
「私、こう思う」「私はこうしたい」って、あたりまえみたいに。
逆に、黙ってると「なんで言わないの?」って聞かれる。
それが最初は怖くて仕方なかったけど、
ある日ふと気づいた。
「自分のこと、話していいんだ」って。
それから少しずつ、私は“ふつう”をやめた。
露出の多いタンクトップを着て、ちょっと派手すぎるかな?って思ったけど、
だれもなにも言わない。気にしない。
K-POPが好き。ファッションが好き。可愛いが好き。
ずっと「そんなのミーハー」って言われるのが嫌で黙ってたけど、
もういいや、私が好きって言ってるんだから、それでいいじゃん。
もちろん、孤独もある。
なんでこんなとこ来たんだろって思った夜もあるし、
でもそういう夜に、意外と自分とちゃんと向き合えたりする。
静かな部屋の中で、「ねえ、本当はどうしたい?」って自分に聞いてみる。
…答えは出ないけど、ちょっと泣いて、朝になればまた外に出る。
韓国に来て変わったこと?って聞かれたら、
「ちゃんとしなくても、私は私でいられるって知ったこと」って答えると思う。
周りに合わせるより、自分にちゃんと合ってるかどうか。
それだけで、生きやすさって全然違った。
好きなことを、好きって言えるようになった。
誰にどう思われるかより、
「私は、これが好き」って堂々と言えることの方が、よっぽどカッコいいと思った。
この国は競争や悪口や喧嘩に溢れてるけど、自分らしく生きやすいと思う。
外にでると、世界の見え方が静かに変わる。